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ガジェット好きのアマチュアサイクルフォトグラファー

コミックマーケット107・初参戦記

コミックマーケット107、2日目。

人生で一度は行ってみたいと思いながら、これまで縁のなかった「コミックマーケット」に、ついに初参戦してきた。

きっかけは、10月に長男が引っ越したことだった。
冬休みを利用して新居の様子を見に行きたいこと、そして妻の実家で年末年始を過ごすという例年の恒例行事。この二つをうまく組み合わせられないかと考えていたところ、「せっかく東京方面に行くなら、一度はコミケを見てみたい」という、以前からの小さな興味が頭をもたげた。

30日に妻の実家へ移動し、31日はコミックマーケットと長男のマンションを訪れる――そんな欲張りな計画を立てたのだが、残念ながら長男は31日がすでに予定で埋まっているとのこと。結果として、31日は「コミックマーケット参戦」という一日になった。

ただ、ここで大きかったのが長男の存在だ。
彼は過去に何度かコミケに参加した経験があり、まさに“経験者”。事前に相談すると、次々と具体的なアドバイスが返ってきた。

東京ビッグサイトにサークルがぎっしり詰まるから、午前入場でも全部は回れない」
「まずは公式サイトのチェック、それからガイドブックを買い、目当てのサークル見つけ、それを地図に落とすこと」
「いわゆる“宝の地図”を作る作業だ」

なるほど、コミケは行き当たりばったりで回れるイベントではないらしい。

さらに驚いたのが、その準備物の入手難易度だ。
公式ガイドブックは一般書店では販売されず、さらに入場には“リストバンド”が必要らしい。しかも宇都宮ではアニメイトでしか扱っていないという。まるで隠しアイテムのような入手条件である。

偶然にも、長男に相談したその日が公式ガイドブックの発売日だった。
これはもう行けということだろう、と仕事帰りにアニメイトへ足を運び、ガイドブックと入場リストバンドを購入した。

ただし、ここで一つ誤算があった。
午前入場のリストバンドはすでに完売しており、購入できたのは午後入場のみ。午後入場は13時から、午前入場は11時から。たった2時間の差だが、この時点では「まあ2時間くらい大差ないだろう」と正直思っていた。

しかし、長男の反応は違った。
「午後入場だと、人気サークルは売り切れてる可能性が高い」
「だから、午後入場でも11時を目標に行った方がいい」

意味がよく分からないまま、経験者の言葉を信じることにした。

公式ガイドブックを開くと、そこには極小文字と小さなカットがびっしり。
正直に言って、老眼にはかなり厳しい。読むというより、拡大鏡で鑑定するレベルだ。

結局、公式サイトのWebカタログにもゴールド会員登録することにした。
キーワード検索ができ、気になるサークルをお気に入り登録すると、マップ上でカラー表示される。視認性は段違いで、しかも価格は1,000円弱。紙の公式カタログの半額以下だ。(次回があるなら、Webカタログ一本で良いと感じた。)

そして12月30日、予定通り妻の実家へ帰省。
久しぶりにゆっくり過ごし、31日の朝を迎えた。コミケ当日は、同行する次男とともに、11時頃に国際展示場駅へ到着するスケジュールを組んだ。

駅に降り立った瞬間、まず目に入ったのが献血車の列だった。
何台も並び、スタッフが「コミケの後にぜひ献血お願いしまーす!」と声をかけている。この光景だけで、「ああ、今日は特別な日なのだ」と実感する。

コミケ献血車

そのまま東京ビッグサイトへ向かおうとすると、赤い帽子をかぶったスタッフに呼び止められ、迂回するよう指示される。人の流れに身を任せて歩いていくと、いつの間にかビッグサイトから遠ざかり、お台場方面へ。気がつけば、夢の大橋の上まで来ていた。

フジテレビが見える

ここからが、コミケ名物の“待機列”である。

列に並びながら、次男と「人が本当に多いな」「でも不思議と秩序があるな」と話す。騒がしくなく、押し合いもない。ただ静かに、淡々と列が続いている。

噂以上に長蛇の列

12時を回ったところで、列に並んだままおにぎりを頬張る。
これが“コミケスタイル”らしく、周囲でも同じように食事をとる人が点在している。並ぶこと自体がイベントの一部になっている感覚が面白い。

12時過ぎから徐々に列が動き出し、12時半ごろに会場入り。

ようやくここまで!



音楽フェスと同じ要領で、リストバンドを頭上に掲げて入場する。人が多いためか、手荷物検査はなく、流れるように中へ。

吸い込まれるように中へ

東京ビッグサイトの構造上、西ホールと東ホールで大きく分かれる。
ここで次男とは別行動。次男は東、私は西へ向かった。

西ホールへ向かう動線も一方通行で、人の流れに逆らえない。会場内は想像以上に暑く、上着が完全に不要になる。湿気も高く、「これがコミケか……」と身体で理解する。感染対策としてマスクは終始着用した。

事前に作った“宝の地図”を頼りに、西ホールで目当てのサークルを回る。
だが、すでに3割ほどは不在、あるいは売り切れ。午後入場の現実を、ここで実感した。なるほど、午後になると売り子も席を外して自分の買い物に出る、という話は本当だったようだ。

それでも1時間ほどで、目的としていた本は概ね入手できた。
達成感と同時に、正直なところ人の多さでかなり消耗していた。人混みが得意ではない自分には、なかなかの負荷である。

人がゴミのようだ

一度外に出て次男に連絡すると、彼も同じような状態とのこと。
私は東へ、次男は西へ、少しだけ雰囲気を見に行くことにした。

しかし、西から東への移動は想像以上に大変だった。一方通行が多く、遠回りを強いられる。途中で企業ブースも覗いたが、コスプレイヤーの撮影会が行われている場所は凄まじい混雑。早々に退避し、東ホールへ向かった。

東ホールは、西とはまったく違う空気だった。
コスプレ衣装で歩く人が多く、華やかさがある。サークルのジャンルも非常に幅広く、漫画だけでなく、コーヒーや雑貨なども並ぶ。創作の懐の深さを感じた。

同時に、「これは完全に予習不足だ」と痛感した。
コミケは、ただ行くだけでは本当の面白さを味わいきれない。事前準備、体力配分、動線理解――すべてが一つの“技術”なのだ。

それでも、初参戦としては十分すぎるほど濃密な一日だった。
巨大な即売会というより、一つの文化、あるいは巨大な社会実験を体験した感覚に近い。

良いお年を

また行くかと聞かれれば、即答はできない。
だが、「一度は行ってみたかった場所」に自分の足で立てたこと、その空気を体感できたことは、間違いなく良い経験だった。

次に行くとしたら――
そのときは、もっと準備を整えて、もう少し“余裕のあるコミケ”を楽しんでみたい。