<Amazon Photos>
ME4(144枚)
MU17*MU15/MM40*MM45*MM60*MM65(94枚)
ME3/WU17*WM*WE2+3(272枚)
MM35/MM50/MM55(393枚)
MJ/ME2(235枚)
WE1*WJ(120枚)
ME1(295枚)
松伏シクロクロス(松伏CX)へ行ってきた。今シーズン初のシクロクロス観戦である。
「シクロクロスの朝は早い」とはよく言われるが、この日も例外ではなく、ME4カテゴリのスタート時刻は8:30。宇都宮からの移動時間を逆算すると、余裕を見れば二時間もかからない距離とはいえ、準備や渋滞リスクを考えるとかなり早めの出発が必要になる。結局、目覚ましが鳴る前の朝5時に自然と目が覚めた。
ME4のスタート30分以上前に到着。
受付に向かう選手たち、アップを始める選手たち、まだ少し眠そうな表情のギャラリーたち。それぞれの「朝のスイッチ」が入っていく瞬間があり、その空気感を味わいながら機材の準備を進め…、ん?しまった、レンズフィルターを忘れた…。
予報では、一日中天気が良いようだ。
(レンズフィルターが無いだとだいぶ絞って撮影することになる。おそらく昼間はパンフォーカス状態だろう…。)と、レンズフィルターを1枚忘れただけで、朝から気持ちが落ち込む。ここは逆転の発想で、いつもはあまり意識しない背景もしっかり考えた構図を狙おう。せっかくのシクロクロス撮影、楽しもうじゃないか。
そもそもこの松伏CXは、宇都宮からも都心からもアクセスがよく、選手もギャラリーも賑わう。「日帰りで1日たっぷり楽しめるCX会場」という印象の場所である。距離的な負担が少ない分、撮影者としては「とにかく撮り尽くして帰ろう」という、ある意味で危険なスイッチも一緒に入ってしまうのだから。
今年で3回目の松伏CX、毎年変わるレイアウトが楽しい
松伏CXは今年で3回目だが、毎回楽しみにしているのがコースレイアウトの変化である。
一度覚えてしまえば同じ場所で「鉄板構図」を量産することもできる。しかし、松伏は織田聖選手の地元であり、コースレイアウトの監修もしている。毎年少しずつラインやセクションが変わり、撮影側にも「コースの下見」が求められる会場だ。
このため、午前のME4からME3までのレースはほぼ違う場所から撮影する時間に充てた。スタート・フィニッシュ付近、登り返しの区間、キャンバー(斜面)を使ったテクニカルセクション、小高い丘の上から全体を見渡せるポイント…。レース展開を追いつつも、頭の中では常に「ここは午前中だけ光が良さそうだ」「午後のME1はここで撮ろう」といったメモ書きが増えていく。
シクロクロスは周回レースであり、同じ選手が何度も目の前を通過する。そのたびに構図を変えたり、少しだけ立ち位置をずらしたりしながら、「このコースならでは」の1枚を探していく作業が続く。レイアウトの微妙な変化が、その試行錯誤の幅を毎年少しずつ広げてくれているように感じている。
一番「盛れた」のはMM35 / MM50 / MM55
この日、個人的にもっとも手応えを感じたのは、MM35/MM50/MM55のマスターズカテゴリの時間帯であった。
理由はシンプルで、「冬でも太陽が高い時間」と「松伏の小高い丘」という地形がちょうど良く噛み合ったからである。
冬場は太陽の高度が低く、朝・昼・夕方では光の向きも質感も大きく異なる。松伏CXのコースは小高い丘の上に広がっているため、レースが進むにつれて、逆光・半逆光・順光が細かく入れ替わるようなタイミングが何度も訪れる。この日の午前の時間帯は、空気が澄んでいてスカイツリーや富士山が見え、また太陽が斜めから差し込むことで、選手の表情、タイヤが跳ね上げる砂や草、ジャージの質感などがきれいに浮かび上がってくれた。
さらに、マスターズカテゴリーの選手たちは、走りに味があるというか、経験値のにじみ出るライン取りや、少し余裕を感じさせる表情がとても画になる。その「人間味」のようなものが、冬の斜光と相性抜群で、シャッターを切る手が止まらなくなっていった。


17,753枚の現実 ― 撮りすぎた日の帰宅後ルーティン
そんな調子で気分良く撮影を続け、帰宅後にPCへデータを取り込んだ瞬間、現実に引き戻された。
この日撮影していた写真の総枚数は、なんと17,753枚。
数字を見た瞬間、「いや、さすがに撮りすぎだろう」と自分自身にツッコミを入れたくなった。
上位カテゴリーは周回数が多く、推しの選手を何度も狙えること、さらに、どこを切り取ってもストーリーが生まれる競技だ。そこに、連写性能の高いカメラと大容量のメモリーカードが組み合わさると、「あと一枚」「もう一周」と自分を正当化しながらシャッターを切り続けてしまう。
しかし、撮れば撮るほど後処理は重くなる。
RAWデータをPCに取り込み、バックアップを取り、そこから「残すべき写真」を選び出す作業は、私にとってレース当日を始めからもう一度なぞるような、ある種の儀式でもある。ただ、さすがに1万7千枚を前にすると、「ここはAIに手伝ってもらうべきだろう」と考えたくなるのも自然な流れであった。
Lightroomの「アシスト選別」に期待したが…
そこで試してみたのが、Adobe Lightroomに新しく追加された「アシスト選別」機能である。
最近のアップデートで搭載されたこの機能は、AIを使って大量の写真の中から「良さそうなカット」を見つけてくれる、いわば自動仕分けのアシスタント的な位置づけである。1万7千枚というボリュームを前にした身としては、「これは試すしかない」と思い立ち、さっそく松伏CXの画像で実戦投入してみることにした。
「アシスト選別」の選択系の機能は大きく3つに分かれている。
・被写体フォーカス
・目のフォーカス
・開いてる目
さらに除外系の機能として、
・ドキュメントとレシート
・失敗ショット
・露光量の問題
といったフィルタが用意されている。
今回の撮影で使えそうだと感じたのは、「被写体フォーカス」と「失敗ショット」の2つであった。理屈としては、「ピントの合ったカットを拾い上げつつ、明らかにダメな写真は自動で弾いてもらう」というイメージである。
しかし、実際に試してみると、私の撮影スタイルとはあまり相性が良くないことがすぐに分かった。
というのも、私がシクロクロスやロードレースで多用する「流し撮り」が、AIにとってはどうやら「単なるブレた写真」と判断されてしまうようなのだ。背景が大きく流れているカットは、こちらとしては意図した効果であっても、「失敗ショット」に近い扱いを受けてしまう場面が目立った。

AIのフォーカス判断は、まだ「写真の意図」までは読めない
もう一つ気になったのは、「フォーカスの判断が微妙である」という点である。
たとえば、選手の顔にピントを置いたつもりのカットでも、たまにジャージのロゴやゼッケン番号、あるいはハンドル付近にピントがきている写真があるが、それをAIは「良し」として拾ってしまう。またその一方で、こちらの感覚では「これが今日イチかもしれない」と思える流し撮りのカットが、あっさりスルーされてしまうこともあった。
もちろん、Adobeの開発側から見れば「アシスト選別」はまだ「早期アクセス」としての位置づけであり、本格的な完成版機能ではない、という前提がある。実際、ニューサイトのレビューを見ていても、「まずはポートレート系や日常スナップで威力を発揮する方向に作られているのだろう」という印象が強い。
スポーツ写真、特に流し撮りやパンフォーカス気味の撮影を多用するジャンルにとっては、現時点では「万能なAIアシスタント」と呼ぶにはまだ距離があると感じる。写真というものは、単にピントの合否やブレの有無だけで評価できるものではなく、「速度感」「ライン取り」「選手同士の位置関係」「背景とのバランス」など、複数の要素の組み合わせによって「良い一枚」が決まる。その「総合点」をAIに読み取らせるには、もう少し時間が必要だと感じた。
結局、1日かけて手動で選別。それでも嫌いになれない時間
そんな経緯もあり、今回の松伏CXの写真選別は、結局いつも通り「ほぼ手動」で行うことになった。
「アシスト選別」でざっくりと外れカットを削れるかと期待していたものの、実際にはAIの提案を横目に見ながら、1枚1枚スクロールして判断していく作業に戻っている。気づけば丸一日が過ぎ、「撮影より選別のほうが長いのではないか」と思うくらいの時間をモニター前で過ごす結果となった。
それでも不思議なもので、この選別作業は私にとって決して嫌いな時間ではない。
シャッターを切った瞬間のことを思い出しながら、「この周回では立ち位置を変えたな」「この選手はレース後半にかけてどんどん表情が変わっていったな」など、一人で答え合わせをしているような感覚がある。AIがどれだけ進化しても、「自分の記憶」と「写真として残したい瞬間」とを突き合わせる作業だけは、当分のあいだ人間の役割として残っていくのだろうと改めて感じた。
AIと写真、これからの付き合い方
今回の松伏CX、レースそのものの熱量はもちろん、Lightroomの「アシスト選別」を実戦投入してみたことで、「AIと写真の距離感」について考えさせられる1日でもあった。
AIは確かに便利であり、今後のアップデート次第ではスポーツ撮影の現場でも強力な味方になってくれるはずである。だが一方で、現時点では「写真の意図」や「その日、自分が何に心を動かされたか」といった主観的な要素までは読み切れていない。
だからこそ、しばらくは「AIに丸投げする」のではなく、「AIの提案を参考にしつつ、最終判断は自分で下す」というスタンスが現実的だと考えている。
1万7千枚という数字を前にしても、最終的には全て自分の感覚で写真を選び取った。
来シーズン、あるいは次のアップデートでは、今回とはまた違う形でAIの進化を実感できるかもしれない。そのとき、自分の撮影スタイルや選別フローがどう変わっていくのかも含めて、引き続き試行錯誤していきたい。
ひとまず今回は、早朝5時に目を覚まし、松伏の小高い丘で冬の光を追いかけ、そして1万7千枚のシャッター音と格闘した一日の記録として、この観戦記を残しておくことにする。