spacevision

ガジェット好きのアマチュアサイクルフォトグラファー

漢は黙ってエベレスティング


新型コロナの影響で
ロードレース未開催の日が続いたため、
エベレスティング(everesting)挑戦者が
続々と現れているという。

エベレスティングとは…

基本コンセプトは実にシンプル。
獲得標高がエベレストと同じ8848mに達するまで
ただひたすらに、坂の登り下りを繰り返す。

ルールも簡単。
同じルートの1スティントで
獲得標高8848m以上になるようなログを残すこと。
世界のどこでもエベレスティングは可能。

ちなみに1スティントとは、
休憩は認めるが、睡眠は認めないことを意味する。 

レッドブル:『エベレスティング基礎知識』より

詳細は上記のURLを参照いただきたい。

どんなに時間が掛かろうが、
エベレスティングに挑戦し、
見事完遂するだけでも大きな功績。

ましてや難所であったとしたら・・・。


林道、牛沢天王寺線。
エベレスティングを密かに達成していたのだ。


この道は、半蔵山に向かう林道。
普段、車はおろか人すら立入らない道。

入り口にポツリと一軒家があるだけ。

なぜこんな人里離れた道で
エベレスティングに挑戦したのか。

譲選手の気持ちになって走り、
偉業の片鱗を味わってきた。

昨日のライドの大回りは
ここへ寄るためである。


一回の獲得標高は約220m
エベレスティング達成には
44回登り下りしなければならない。

平均斜度10%
休みどころが全く無い。

さらに、車が入らないため、
アスファルトは苔生している。
ダンシングでリヤが滑る。

そして、ガードレールが無く、
去年の台風19号の影響で
道の至るところは崖崩れしている。

斜度のキツさに体力を奪われ、
道の悪さに神経をすり減らし、
命からがら、山頂に着く。


こんな道を44往復…。

改めて、なぜ譲選手は
ここでエベレスティングをしたのか考える。

八方ヶ原や、古峰ヶ原など
もっと走りやすい山道はある。

ただ、人に迷惑を掛けないことを
第一優先にして道を選ぶと…
この道が最適だ。

そして、人に迷惑を掛けないため
事前に告知せず、密かに完遂し帰ったのだ。

漢は黙ってエベレスティング。

まさに司馬温公の教えである。

道に志す者は、偉業を貴ばぬものなり。
司馬温公は閨中にて語りし言も、
人に対して言うべからざる事無しと申されたり。
独りを慎むの学推して知るべし。
人の意表に出て一時の快適を好むは、
未熟の異なり、戒むべし  (西郷隆盛

 
ひょっとして譲選手のことだから、
この記録をeveresting.cc
アップロードしないかもしれない。

だが宇都宮のサイクリストに語り継がれることは間違いないだろう。